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2016年03月10日(木)
タイムストーリー「おいしい1時間」
タイムストーリーシリーズは、全10巻。
大人気のシリーズです。

今回ご紹介の、「おいしい1時間」に
収録されているのは、


表題作の「おいしい1時間」村上しいこ作 他、
    「ニワトリ時計」田部智子 作
    「ゆうまのエンブレム」みとみとみ 作 
    「オレんちの危機を救え」 水生大海 作
    「デート」 福田隆浩 作 の5編。

会報部の友人みとみさんの作品「ゆうまのエンブレム」は、
おもわぬ誤解から、犯人にまちがわれてしまった隣のお兄さんを、小学6年生の晴人の機転で救う物語。
それには弟ゆうまの、純な行動が、功を奏したのです…。
なるほど…! タイムストーリのキーワードである、1時間が謎解きに、大変うまく使われています。

他のどの作品も、おもしろく
それぞれ「1時間」にまつわるストーリーが、読者を
不思議な物語せかいへ連れて行ってくれました!


2016年03月07日(月)
ガラスの壁のむこうがわ
ガラスの壁のむこう側

せいのあつこさんの、デビュー作
「ガラスの壁のむこうがわ」(国土社)を、ご紹介させていただきます。

★★★★★


グズで暗くてKYな子━━周囲からそんな烙印を押され、学校でも独りぼっちの由香が、変わり者のおじさんや孤高の転校生とのかかわりを通して、自己肯定できるようになるまでを描く。少女の心のひだを丁寧にすくいとった珠玉の作。

     出版社紹介文より

★★★★★

「はやくお友だちができるといいね」
「友だちをたくさんつくろうね」
「友だちはとても大切なんだよね」

母親や先生からなげかけられる言葉がガラスの豆になって、ぶつかってくると、感じている主人公由香は、5年生。
そのガラスの豆に気づいたのは、保育園のときだ。
一生懸命、だれかと友だちになろうとするのだけれど、そのやりかたがわからず、いつのまにか、ひとりのなってしまう由香の、けなげでさみしい心情に胸をゆさぶられました。

女の子の繊細な気持ちの描写が見事。せいのさん独特の魅力的な文体でつづられています。
表紙のイラストも、素敵!
おすすめの一冊です。



2016年03月06日(日)
黄砂にいどむ
高橋秀雄さんの新作ノンフィクション,
「黄砂にいどむ」
をご紹介させていただきます。

★★★★★

物語をたくさん書かれている高橋さんの、ノンフィクション、とても新鮮でした。
宇都宮大学の一前宣正教授へのインタビューを重ねながら、
かかれたそうですが、子供向けに「砂漠化の現状」や、「緑の再生の試み」が、わかりやすくかかれています。

草は、氷河期の厳しい環境を生き延びてきた植物なのに、人間の都合で作物以外の草を邪魔者扱いしはじめてから、雑草とよばれるようになったこと。
雑草の中にも、「耕地雑草」と「路傍雑草」とがあること。
織り込まれている情報も、トリビアでした。
へー!! 身近な草のこと、なにも知らなかったなあ…と、
読み進めると、こんどは、古典文学にたくさんの植物が登場し「鳥獣戯画」にも秋の七草が出てくるとの、あたらしいなるほど情報も…。
むずかしいテーマも、こんな風に書かれていると、
途中で興味を失わずに、読み進められるのだなあ…、
と、あらためて、思いました。

それにしても、一前教授はじめ研究者の方たちは、2万種類以上のタネを試し、ようやくスイッチグラスと出会い、その研究を若い中国の研究者に引き継がれたとのこと。その長い年月…を思うと、なにごとも希望を捨てずにやりつづけていくことの大切さを思った読後でした。
出会えてよかったすばらしい1冊です。


2016年02月24日(水)
水晶玉をみつめるな
赤羽じゅんこさんの、新刊
「水晶玉をみつめるな」を
ご紹介させていただきます。

★★★★

    紹介文より

おれは、つんつん頭であだ名が“タワシ”の駿介。家族でキャンプに行ったとき、河原でひろった水晶玉は、とにかくきれい! これをつかって「うらない屋」をはじめたら、面白いんじゃない? ということで、いつもいっしょの相棒でミニ相撲取りみたいな体型の“肉まん”拓真と、友だちを相手にうらないを始めてみたんだ。

テレビで大人気のうらない芸人のマネをして、友だちに「将来バラ色!」みたいなことを告げていたら、みんな大喜びで大成功! ……だったんだけど、金持ちでイヤミな“カネカツ”がやってきて、すっげえ意地悪なリクエストをしてきたものだから、頭にきて水晶玉をのぞいたんだ。そうしたら、そこに見えたのは、“カネカツ”が自慢のトレカのコレクションを落っことして水びたしにしてしまう映像だった!

この水晶玉、おれの願いを実現させる力があるみたい! だけど、だれかが失敗するって願いしか、かなえてくれないみたいなんだ……。

★★★★★

数ページで人物の関係を読者にわからせてくれる出だしのテンポの良さがさすがです。
占い師のデルデドーラ、水晶玉、つぎつぎに面白い要素がでてきて、どんどん物語にひきこまれました。

水晶玉こわいばかりではなく、シュンの占いで
前向きになった子がいうのも、いいです。
自分の手で壊す、そのやり方も力ずくではなく…というところが、読後の安心感にもつながりました。
ほんとにおもしろいドキドキ物語!


2016年02月15日(月)
ことづて屋 続編!

濱野京子さんの新刊、
「ことづて屋 停電のよるに」(ポプラ社)
をご紹介させていただきます。

★★★★★

紹介文より…

頭に聞こえてくる死者からの伝言を相手に届けるうちに、「ことづて屋」を名乗るようになった津多恵。届ける人や言葉はいろいろ。「ママを守って」と幼い息子に言い遺した父親から、改めて息子へ。夫から老いた妻へ、大事な物の隠し場所を。熊谷空襲で亡くなった親友が七十年ごしで明かす、秘めた恋心。そして、来ると約束したのに現れなかった恋人からの言葉。それは震災後の計画停電の夜で―。人の気持ちにあたたかくよりそう、やさしい物語、第二弾。

★★★★★

後半に山があり、なかでもひきこまれたのは、
『悪魔との取引』の章です。
劇中劇のような面白さがでており、
読者をあきさせない工夫が成功していると思いました。また、上の谷中周辺の様子や六角堂など、視覚に訴える要素が魅力的で。
「描くことしかできない」でも「描くことはできる」という画家の人生が、死んでなお、意味があったことも、しみじみ感じられました。

死ということを、身近に感じている読者が手に取れば
読後に、より思うことの多い作品だとも思います。
いいご本です。


今年のお正月、年賀状の返信で、高校時代の親友が昨年夏に、病気で亡くなっていたことを、ご主人からのお手紙で知りました。
同じ年の友人の死は、こんなにも、悲しいものなのだ…と、はじめて知りました。
ほとんど毎日、一緒に過ごした高校時代のおもいでが一気におしよせ、そんな思い出を手紙につづり、お花と一緒に送っりました。その後、ご主人が、彼女の最近の写真(満開の桜の下)と、私が送った花を彼女の写真のそばにかざってくれている写真を、送ってくれました。
それを見ると、また泣けてくるんですね…どうしても…。
今、できることを丁寧にやっていきたい、
この本を読んだ後も、そんなことを思います。



2015年11月25日(水)
しゅるしゅるぱん
おおぎやなぎちかさんの新刊
「しゅるしゅるぱん」(福音館)を、ご紹介。

★★★★★

さすがに、児童文学ファンタジー大賞佳作受賞作だけあって、なんという読みごたえのある、壮大な物語でしょう!

冒頭から、味わいぶかい岩手の方言と「しゅるしゅるぱん」という不思議なことばに惹かれ、気が付けばファンタジーの世界へ連れていかれています。
現在と過去が交錯する構成、主人公、解人のまえにあらわれた、「しゅるしゅるぱん」と名乗る男の子の本当の正体は?
その謎がじょじょに解き明かされていく過程が、美しい練り上げられた文章でつづられています。

12月には、出版記念パーテイも開かれるそうで、とても楽しみです!


2015年10月22日(木)
まろい
山口せつこさんの、新刊、
詩集「まろい」を
ご紹介。

★★★★★

プロ作家さんの山口さんが、お孫さんの山口そらさんと、
コラボした詩画集。
まろいまろい…まるいものを描いたいらすとから、つぎつぎに生まれでた新鮮な発想が、詩という形になり、そこから生まれた、また新しいイラストイメージがさらに新しい詩を導き出すといったような不思議な連鎖でつづられていった詩集とのことです。
まるく優しくあわく、でもときには、強い思いや、反戦の思いが…読者に、ふるふると伝わってきます。
創作で磨かれた筆力と感性が、それぞれの詩からつたわってくるのが、見事というよりほかありません。
そらさんの独特なイラストが、不思議な世界をかもしています。


2015年08月26日(水)
川床にえくぼが三つ
にしがきようこさんの新刊
「川床にえくぼが三つ」(小学館)
を、ご紹介。

★★★★★

中学2年の主人公、文音が、夏休み、友達の華ちゃんと日本を脱出!インドネシアに飛びます。

出だしの空港場面からひきこまれ、
考古学者の、楓子さんのかっこよさや
現地のヤンテイさんやダングさんの素朴なやさしさが、
じわじわ読み進めていくうちに伝わってきます。
作者のにしがきさん、インドネシアに1年半暮らしていたそうですが、作品を書くにあたっては、いろいろ調べられたことでしょう。
それ感じさせず、中学生の友情&夏休みの冒険&太古へのロマンのストーリーにしたてた筆力がすばらしいです。



2015年08月19日(水)
電車でノリノリ
新井けいこさんの新刊
「電車でのりのり」(文研出版)を
ご紹介。

★★★★★

主人公は、4年生の女の子、横田乃里(ノリ)。転校してきて、そうそうにはるちゃん、咲ちゃんという友だちができたのはいいけれど、ふたりとも、電車がすきみたい。
社会科見学で科学技術館にいくことになり、同じ班になった男の子ふたりも電車オタク!
はじめは興味がなかったノリだけど、だんだん面白さがわかってきて、仲良しに!

ノリちゃん、楽しくノリノリで電車にノリます。
3つの言葉をかけた元気なタイトルそのままの、楽しいお話ですね。



2016/04/03(日)
更科日記(ストーリーで楽しむ日本の古典)
地元市原市が、物語の舞台になっている、古典ものがたり
『更科日記』が出版されました!
作者は、濱野京子さん。

更科日記は、平安時代に菅原孝標娘が著したものですが、そのものがたりのはじまりは、上総の国の国司であった孝標が娘たちとともに京に帰るところからはじまります。
そのものがたりにちなんで、わたしの地元、市原市には、更科通り、上総更科公園、五井駅前には、菅原孝標娘の像もあります。
そんな場所に住んでいても、更科日記は、なかなかに難しい古典だったのですが……、それを見事に、子ども(高学年くらいから)にも、わかりやすい現代語訳にしてくれました。

それも単なる現代語訳ではなく、この地に引っ越してきた少女が市原中央図書館でであった不思議な図書館員さんに、更科日記のことを聞くうちに、その古典の魅力にはなっていくといったストーリーになっています。
もちろん、みんなが楽しめるものがたりですが、もちろん市原中央図書館では、地元の歴史関連資料として、さっそく本棚に、コメントつきでかざられていました。

実は、昨年春、濱野さんの取材に同行させていただいたかわのですので、一年を経て、すばらしい作品にであえて、うれしい限りです。
それにしても、古典をこんなふうに書けるプロのわざが見事。最後のオチにも納得の1冊です。7


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shiromuku(hu1)DIARY version 3.04