2012年10月15日(月)
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アーサー・ビナードさんの講演
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昨日、日本児童文学者協会主催の 2012 公開研究会に行ってきました。
プログラムは ☆アーサー・ビナードさんの講演 「マザーグースとメルトダウンと村正の妖力」 ☆那須正幹、及川和男、内田麟太郎、長谷川義史、各氏の トーク形式によるシンポジウム
でした。
情報というものは、受け取るのはたやすいけれど、それを、発信していくのは、とてもとてもエネルギーのいるものだとおもいます。その自分の発するエネルギーが聴衆に、なんらかの感動をあたえられなければ、発信した情報も、発信者自身も、なんの効力も持たない…どころか、逆効果にさえなってしまいます。 そういう意味で、今回の講演&シンポジウムは、その場に居合わせた多くのひとに、感銘をくれるすばらしいものでした。
その感銘を、ここで、私がまた別の誰かに伝えることは、とても難しいことなのですが…。かいつまんで、少しだけ、ご報告…。(私的解釈がまじっていることも、ご了解ください)
ビナードさんが幼いころ、お母様は、よく、マザーグースの歌をうたってくれたそうです。 マザーグースで、有名なものといえば、「ハンプテイ・ダンプテイ」塀のうえから落っこちて、壊れて…どうにも、もとに戻せない…。 これは、本当は、なぞなぞであり…、あのテニエルの絵のせいで、すぐに卵をおもいうかべてしまうけれど、答えはひとつじゃない! そう。 まさに…兵隊がはせ参じても、自衛隊が空から水をかけても、二度ともとに戻せない…圧力容器、だというのです。 原子力と発電には、根本的にはなんのつながりもなく、 核分裂で発せられた熱を冷却するために水が必要→お湯が沸くからエネルギーになる。だったら、お湯を沸かすためのエネルギーは、原子力である必要はない…。 まさに、目からうろこ…。ほとんどの日本人は、そんな単純なことも知らずに、一部の政治家と日本経済を牛耳る巨大資本家の画策で、原子力発電が推進されていくのを、のほほんと見ていたんですね…。 村正の妖力とは、刀鍛冶村正の作った刀が、切れることばかりをかんがえてつくったために、それを持つ者が、どうしても試し切りをしたくなってしまう…妖しい力。そして、あまりによく切れるために、切られても痛くない…切られたことにきづかずに、あとでバッタリしんでしまう。まるで、内部被ばくと同じ…、このたとえ話は、どんな怖い話よりも説得力をもった怖い話でした。
シンポジウムでは、それぞれの作家の方の熱い思いがつたわってくるトークがくりひろげられましたが、とりわけ、岩手在住の及川和男先生の、広津和雄の文学精神を引用したお話が心にのこりました。 メモしきれませんでしたが…、
どんなことにも負けず、 忍耐強く、 悲観も楽観もせず 生き通していく
そんな内容だったとおもいます。
9月には、私も、震災後はじめて、岩手にいきました。 青森でねぶたの館を見物し、盛岡では東京とかわらぬ、繁華街でお酒をのみ…、震災ごみが片づけられた、美しい三陸の海岸で船にのり…、でも…、 友人がつれていってくれた田老の町は、ほとんどの家が流され、土台だけが残っている跡地や、がれきの山に、草が青々と生え、沖に見える海は、何事もなかったように静かでした。
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