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2009年10月08日(木)
バターサンドの夜
今年になって知り合ったとてもステキな方、
河合二湖さん。

河合さんのデビュー作、『バターサンドの夜』も素敵な一冊です。
洗練された若々しさがあり、今風なのに品格があるんです。
ロシア革命と、ロマノフ王朝の終焉というミステリアスな歴史もからんで、奥の深いYA小説になっています。


以下は、講談社のHPより転載したものです。

★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆


第49回講談社児童文学新人賞受賞の鮮烈なデビュー作!
この新しさをなんと説明すればいいんだろう!

『バターサンドの夜』が出たいま、ヤングアダルト小説の世界はもうこのままではいられない。――金原瑞人氏(翻訳家)推薦

「モデルやらない?」
息苦しい毎日の心の支えは、「ロシア革命」のアニメのワンシーン。いつかこの主人公のような衣装を着て、自分を変えたい中学生の明音に誘いの声が。自分ってなに?自分のことを本当にわかってくれる人っていないの?

中学生の心の揺らぎを巧みにすくいあげた新世代・ヤングアダルト小説。




2009年10月05日(月)
花華さんのあたらしい家
同人「ふろむ」の仲間、田中良子さんの本
「花華さんのあたらしい家」
が、出版されました。おめでとうございます!

以下は、ポプラ社のHPより…

★☆★☆★☆★☆

 まやのことを、ママよりわかってくれるおばあちゃんが、
 ひとりでおひっこしをしてしまった・・・!

 まやの心のなかにたくさんの言葉をのこして――

 日本児童文学者協会・ポプラ社
 新・童話の海 第一回公募入選作


まやは、パパとママが離婚してからママのお母さん、
華花さんと三人で暮らしています。
ある日、華花さんがひとりであたらしい家にひっこしました。
でも、まやが、華花さんの家をたずねたら・・・。
そして、また、華花さんはさいごのおひっこしをするのです。

★☆★☆★☆★☆

ホスピスでのおばあちゃん死という重いテーマを扱っていながら、読み終わった後暗くならない、不思議な読後感のさくひんです。
いつも明るい田中さんらしさが、文体にあらわれ、それが本全体にいきわたっているからでしょうか。
心に残る1冊です。


2009年10月05日(月)
星の使者
『星の使者』(徳間書店 ピーター・シス作・絵 原田勝訳)

16世紀のイタリアは、トスカーナ大公国や、ジェノヴァ共和国や、ナポリ王国や、ヴェネチア共和国や…ミラノ公国や…サルデーニャ王国やら…、たくさんの都市国家にわかれており、で、そのパッチワークのような国の共通点は、宗教(キリスト教)だけで、故に、ローマ・カトリック協会が絶大な権力を持っていました。

1564年2月15日、ピサの町で、ガリレオ・ガリレイ誕生。
同1564年、イギリスでウイリアム・シェイクスピアが生まれました。

大きくなったガリレオは、来る日も来る日も望遠鏡で夜空を観測し、見たことをかきとめました。そしてそれを「星の報告」という本にまとめて出版。
ガリレオの本は、ドイツのフランクフルトで開かれる書籍見本市に出品され、たくさんの外国語に翻訳されました。

やがて、ローマ・カトリック教会の人たちは、不安に思いはじめました。

地球が宇宙の中心でないという説を口にするのは、聖書にそむくこと…
ガリレオは裁判にかけられ、1633年、有罪になりました。
そして
死ぬまで、じぶんの家から一歩も外に出ることを許されませんでした。
でも、
息をひきとるその日まで…、じぶんの考えを人々に伝えつづけました。

それから300年以上もたって、
罰をくだした、カトリック教会をひきいるひとたちは、ようやくガリレオをゆるし、じぶんたちの過ちをみとめました。【1992年】

ガリレオの考えは、はじめから、ゆるぎのない真実だったのです。


****************


ガリレオの名前は知っているけれど…イタリア人だということも、そりゃあ知っていたけれど…。じゃあ、ガリレオの生きた時代って? そんな疑問を、絵本でわかりやすく解き明かしてくれる本です。
それに、わお、シェイクスピアと同じ年生まれ?(ちなみに、天地人で話題の直江兼続と、石田三成は1560年うまれです)
書籍見本市が、もう開かれていたの?
こんなふうに、おもしろさだけでなく、歴史の知識も教えてくれる本です。その上に、イラストがとてもいいです…。


2009年09月30日(水)
絵本の場面
★ぐりとぐら

★きつねの
おきゃくさま



娘のドレミが小さいころ、よく粘土あそびもしたものでした。じゃあ、『絵本の一場面をつくってみよう!」といことになり、一緒につくってみたものです。

作者の方からすれば、「なにこれ?」と思われるかもしれませんが…、こういう遊びをすることにより、キャラクターが絵本の中から飛び出してきたような気がしました。
ロングセラーになる本には、かならず愛すべきキャラクターがいるんですね…。


2009年09月27日(日)
かいじゅうたちのいるところ
あまりに有名なので、やめようかと思いましたが、やはり思い入れがある1冊なので…、今回は
自宅の棚から久々にひっぱりだして、写真を撮ってみました。

30年前、ちょうど20歳の夏、アメリカのサンタクルズというところにホームステイしました。
貧乏学生で、アルバイトをして貯めた貯金をはたいてでかけた身なので、ほとんどお土産は買いませんでした。
でも、街の本屋さんで、数冊だけ本を買いました。その中の1冊が、この
『WHERE THE WILD THINGS ARE』

当時、必死で訳した下手で自分勝手な日本語訳が書き込んであり・・・、
それから15年ほどたち、母親になってから、日本語版翻訳者、
神宮輝夫さんの訳も書き込んだしだいです。
(扱いも管理も悪かったせいで、変色してしみだらけ…。)

にしても…、
学生時代は、ただ「絵が面白い!」と思ったこと、そして大学の先生に「すばらしい本ですから、いつか必ず読んでください」と言われた記憶があったから、買ったのですが、
今、
センダックや、この「かいじゅうたちのいるところ」について語られている知識が多少ふえ、あらためて、ページをめくりなおすと、本当におもしろいです。

  ★当初、センダックが考えていたのは、『WHERE THE WILD HORSES ARE』だったそうで、「馬たち」がうまくかけないので、「物たち」にしてしまったそうです。
  ★日本語訳では、かいじゅうがピタリとはまっていますが、あくまでも、モンスターではなく、ワイルドなものたちであること。
  ★このワイルドという意味には、こどもにとってはコントロールできない存在だという暗示がふくまれ、それはマックス(こどもの頃のセンダック自身)にとっては、日曜日のたびにブルックリンノセンダックの家にあつまってくる親戚の大人たちだったこと。(実際に「たべちゃいたいくらいかわいいねえ!」なんて恐ろしいことをいったのだと、センダックが語っています。
  ★表紙をかざっている、牛のような特別な怪獣。他の怪獣とはちがって、人間の足をもった怪獣は、マックスの父親を暗示しているという研究者の説も、とても興味深く説得力があります。
  ★かいじゅうの中のいっぴきは、マックスの部屋に飾られた「マックスの描いた絵」にそっくり。
  ★はじめ三日月だったつきが、物語の終わりでは満月になっています。(これについて、センダックは、「どうせありえないはなしなのだから」と言っています)

こんなふうに、見るたびに、それぞれのページに隠し扉があるような本。
だから、何十年たっても、こどもから大人まで魅了しつづけているのでしょうね。

                         参考文献、岩波書店の「センダックの世界」
                              人文書院「絵本をひらく」 


そういえば、映画化もされ…、来年封切りとか…。楽しみです!


2009年09月26日(土)
ゆうびんやぎさん
「ゆうびんやぎさーん! うさぎさんのところまでデリバリーしてくれ。」
「はい!」
ゆうびんやぎさんは、おいそがし。
でも、雨がふってきて…。
「わぁぁっ!」
住所が雨でにじんでしまったのです。
さて、ゆうびんやぎさん…どうなるのでしょう?

「ゆうびんやぎさん」(くもん出版)は、
昨年のおはなしエンジェル子ども創作コンクールの受賞作から出版化された絵本です。作者の杉本美沙希さんは、応募時は、5年生でしたが、こどもらしい発想と新鮮なアイデアがマッチしていて、ことばのリズムも楽しい作品。
とりごえまりさんの挿絵もステキです!


きのうは、今年のコンクールの1次審査でした。
(私は1次審査だけかかわらせていただいているのですが、楽しみながらも、1編1編一生懸命。読ませていただきました)
今年も、たくさんの、可愛い&うまい&すごい作品が集まっているようです。
最終選考&授賞式が楽しみです。


2009年09月23日(水)
きょうの一枚
きょうの千葉県は、快晴。
お洗濯日和だし、おでかけ日和だし、ガーデニング日和…。
でも、ずっと外出つづきだったので、家で音楽(ベートーベンの田園交響曲)を聴きながら、旅行に行った気分にひたり・・・絵を描いたり、本や原稿を読んだりしています。
午前中に描いた、パステルスケッチです。


2009年09月20日(日)
ルドミラ・ゼーマン
もっと早く知ってれば良かった…と悔しくおもうくらい…、
最近一番すきなのが、この人の絵本。
エロール・ル・カインと同じくらい、とてもとても魅了されています。

ルドミラ・ゼーマン作の絵本3部作
絵もすばらしいけれど、あどがきに書かれているゼーマンさんの「作者のことば」と、脇明子さんの「訳者のことば」に、魅了されました。

シンドバッドの冒険の内容はとても有名なので・・・

以下は、岩波書店のHPから紹介文です。

『シンドバッドの冒険』
千夜一夜の物語の中から,船乗りシンドバッドの,鯨の島とダイアモンドの谷でくりひろげられる冒険が本格的な絵本になりました.細密画のように繊細で,タペストリーのように華麗な絵が楽しめます.「ギルガメシュ王ものがたり」の作者ゼーマンによるアラビアンナイトの絵本.

『シンドバッドと怪鳥の島』
巨大な怪物や大蛇など,さまざまな危機をのりこえて,シンドバッドのさらなる航海は続きます.ロンドン・パリ・ニューヨーク,ベルリンの美術館・博物館で,さまざまな絵画や絨毯などを調査して描かれた本格的絵本.


『シンドバッドのさいごの航海』
世界中のどんな宝よりも大切なものを見つけたシンドバッド.船乗りシンドバッドが語る航海の物語は,いよいよクライマックスに−.ペルシャの細密画やじゅうたんを調査し,緻密でユーモラスに描かれた千一夜絵本『シンドバッドの冒険』『シンドバッドと怪物の島』に続く完結編.


2009年09月19日(土)
学び習うことと、勉め強いられること
今週は、
月曜日、仕事
火曜日、絵画教室&仕事
水曜日、「Be子どもの本の会」という、読書勉強会
(課題図書は「アンボス・ムンドス」桐野夏生・作でした)
木曜日、仕事
金曜日、児文協会報部の割り付け作業
土曜日、同人誌ふろむの合評会
(今月は、ゲストに、評論のプロF氏に来ていただいたので、ほとんどのメンバーが全国各地から集まりました)

といった感じで、ドタバタと忙しい日々を過ごしましたが、楽しかった〜&充実していました。

それは、ほとんどすっかり体調が回復したせいもありますが、勉強(勉め強いられる)ではなく、学び習うことの楽しさを感じられた一週間だったからだと思います。
(この違いも、先だっての飫肥氏の講演会で、ハッとさせられた言葉です)

さて、明日からは、シルバーウイーク…です。
とはいえ、お彼岸なので、またまたお墓参りですね〜。
こちらは、勉め強いられる…なんて言ったらバチがあたりそうですが…、
「まだ、お盆からひと月ほどしか、過ぎていないのにな〜」というのが、ホンネです。


2009年09月17日(木)
ギルガメシュ王ものがたり

世界最古の文学といわれる『ギルガメシュ叙事詩』を絵本にした、3部作。
ルドミラ・ゼーマン(文・絵)の絵が素晴らしいです。

なんどか借りなおして、やはり蔵書にしようと『ギルガメシュ王ものがたり』をネット注文しましたが、残念ながら、残りの2冊は品切れのようです。

内容

『ギルガメシュ王ものがたり』
ウルクの王ギルガメシュは、太陽神によってこの地におくられましたが、人間の心をしりませんでした。
友がいなく、ひとりぼっちのギルガメシュは、暴君となり、人々に、世界一高い城壁を築かせようと働かせました。
人々は、助けてくれるように神にいのり、神は、ギルガメシュの競争相手として野人のエンキドウを造りました。
ギルガメシュは、うた歌いのシャマトを森におくり、エンキドウを都に連れてこさせます。
そして、エンキドウと戦い、自分の強さをを人々に見せつけようとしますが、戦いの途中、自分の築いた城壁からおちそうになったところをたすけられ、エンキドウを生涯の友とします。
そして、ギルガメシュは良き王となりました。


『ギルガメシュ王のたたかい』
ウルクは、やすらかな都になりましたが、あるひ、山の怪物フンババのいかりにふれ、はげしい音とともに城がくずれ、シャマトが死んでしまいます。フンババと戦うために山にむかったギルガメシュとエンキドウは、女神イシュタールの起こした風にたすけられフンババを倒します。
イシュタールは、ギルガメシュに求婚しますが、ギルガメシュがこれを断ったために、しかえしに、ギルガメシュの大切な友エンキドウを病にかからせ、死なせてしまいます。
王は「死こそ、この世でもっとも悪いかいぶつだ」と気付き、決心します。
「我は行く。永遠の命をえるひみつをもとめて。それがわが最後の旅となるであろう。」


『ギルガメシュ王さいごの旅』
ギルガメシュは、死をほろぼそうと、旅にでます。
やっとのことで太陽神の庭についたギルガメシュは、
「永遠の命のひみつをしるものは、ただひとり。ウトナピシュテム」と、きき、さらに旅をつづけます。
死の海をわたったギルガメシュは、『人の身から、神となり永遠に生きるものとなったウトナピシュテム』から、物語をきくこととなりました。
それは、「かつてウトナピシュテムが王であったとき、人々は悪におぼれ、それに怒った神が大洪水をおこして、すべてをほろぼすことにきめた。神から警告をあたえられたウトナピシュテムだけが、おおきな箱舟をつくり、家族や動植物を船にのせた。6日7晩ふりつづいた雨のあと、ウトナピシュテムの船だけで、神は永遠のいのちをさずけてくれた」と、いうものでした。
永遠の命は不可能と知ったギルガメシュでしたが、、若さと幸せをあたえられる草をみつけます。
ところがそれも、へびに化けたイシュタールに食べられてしまいます。
疲れ果て、失意のなかでウルクに戻ったギルガメシュを、あの世からエンキドウが迎えにきます。
空へとびたったふたりは、ウルクの都を上空からみます。
エンキドウは、言いました。
「ギルガメシュよ。ここに、きみのもとめた永遠の命がある。」と。


**************

なるほど…、『旧約聖書』にこの物語の影響があるといわれていますが、特に『ノアの方舟』のはなしって、この、ウトナピシュティムの洪水の神話が元になっているんですね。


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