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2009年09月12日(土)
アンジェロ
壁ぬり職人アンジェロじいさんのしごとは、古い教会の壁をぬりかえ、古びた彫刻に新しい命をふきこむこと。ある日、仕事中によわったハトを見つけたアンジェロは、しかたなく家につれてかえり、手当てをした。はじめはぶつぶつ文句をいっていたのに、しだいに看病にうちこむようになり、やがてハトとアンジェロは大の仲良しになって……。
別れをつげる最後の瞬間まで相手を思いやるアンジェロじいさんの死を、さわやかに感動的にえがく。コルデコット賞受賞作家がえがく、心あたたまる物語。(出版社のレビューより)

今週の水曜日、地元の公民館の講演会で、講師の方が、読み語りをしてくれた本です。
で、この本をよんでくれた講師の方は、な〜んと、ぽるぷ出版の社長さん、Z氏。(私の大好きな『キャッツ』の本を出版している出版社です)
Z氏は、飫肥糺さんというペンネームで、作家活動もされている方です。


2時間あまりの講演で、笑いをまじえながら、
時間について・・・、また、絵本の魅力について・・・、また、合間合間に、
とてもソフトな声で絵本の「読み語り」を織り込みながら、語ってくれました。

トークのほんの一部分を、正確にではありませんが・・・紹介させていただきます。

最近は、時間の流れがとても速いと感じます。
それは、時代のせいでもあるでしょうが、
自分の年齢によってもちがうようです…。
また、短いと感じた1時間は、あとで振り返ると、充実した時間であり・・・、
長いと感じたやっかいな1時間は、振り返ると、なにも覚えていなかったりです…。

絵本は、読んでやるのではなく、読ませてもらうもの、
自分自身も楽しむことができます・・・。
また、絵本によって、日常感じなかった感情を動かされることがある…、
それも絵本の魅力ですね。
優れた絵本は、万国共通。
それは、世の中の理(ことわり)が描かれているからでしょう。

などなど・・・。

学生時代の退屈な授業を思い出したり、娘とおたがいに読み聞かせっこしたときのことを、思い浮かべ、おもわず、にんまり頷きながら、耳を傾けたしだいです。

何冊か紹介された、本のなかで、私の印象にのこったのが、この「アンジェロ」でした。
年をとっても、職人としての誇りをもち、仕事にむきあっているアンジェロじいさんの姿が、傷ついたハトとの淡々とした日常の中に浮かびあがってくる…ステキな一冊でした。


2009年09月07日(月)
『世界で一番のねこ』
エトワールは、気品にあふれたねこでした。
コンテストで1等賞にえらばれ、ご主人には特に大切に扱われました。
ところがある日、エトワールはひふの病気になり…
「ほかのねこに病気がうつったらたいへんだ」
ご主人は、エトワールを見知らぬ場所に捨てて、行ってしまいました。

でも、ここでくじけなかったエトワール。
とおりがかりのおじいさんにたのみます。
「お願いです。わたしをいっしょに連れていってください」

そのおじいさんは、バイオリン職人。
エトワールの仕事は、工房にねずみがでてこないように見張ることになりました。

やがてエトワールは、ねこたちがひらく、ねずみ取りコンテストにでて、4等になり、
エトワールのもとに、1等になったねこがたずねてきます。
「あなたは、ねずみとりコンテストで一等賞をもらった・・・」
と、エトワールがいうと
「おれさまは、1番をとったねこのビートだ。1番ってのは、自分でとるもんだ。
だれかに、もらうわけじゃない。いいか? そこをまちがえるんじゃねえぜ」

このセリフ、いいですよね!
なかなか、こんなこと言えるもんじゃないけれど、ねこのセリフだからいやみがない。

そして、ラスト…エトワールは…。


このおはなしも、ねこのお話…というよりも、そのまま人間社会に置き換えて楽しめる一冊になっています。これが人間のこどもの名前だったら、ありきたりでお説教くさくなってしまうところが、ねこにしたために、おもしろさが倍にも3倍にもなっているんですね。
とてもとても楽しい読み物です。

『世界で一番のねこ』(藤野恵美 文、相野谷由起 絵、アリス館)


2009年09月05日(土)
ジェーン・エア
ゆうべ、は、日生劇場に、まつたか子さんと、橋本さとしさん主演の『ジェーンエア』を見に行きました。
子役から、脇役まですべての出演者が、こんなに、歌のうまい舞台は初めて…でした。

ジェーン役の松さんや、ロチェスター役の橋本さんの存在感はもちろん圧倒的ですが、脇役のブランチ・イングラム役のオペラ歌手、幸田浩子さんの歌声がとにかくすばらしい。
でも、主役を食ってしまうというのとは違う…この感じはなんなのだろう? と思いながら見ていました。

その感覚がなんだったのか・・・脚本家、演出家でもある、ジョン・ケアード氏が、舞台後のアフタートークで解決してくれました。(きのうは、たまたまケアード氏のアフタートークがある日だったのです)

ジェーンは、主役ではあるけれど、決して美人ではなく自分にもコンプレックスをもっている、という設定。そして、脇役ではあるけれど、美しさと貴族の高貴さをもったイングラムゆえに、ジェーンが「この人にはかなわない・・・」と、身を引こうと思うのだから、イングラム役の俳優は、その魅力を声で表現できる人でなければならない…というのです。

なるほど〜。

また、日本版では、ブロードウエイ版にはあったコミカルな歌をけずって、短くしたこと。
舞台練習をしながら、毎日のように脚本を書きかえ・・・、それに答えて翻訳家、作詞家、俳優さんたちが一緒に今回の舞台をつくりあげていったこと。

そしてまた、原作のどこを変えて舞台化したのか…たとえば、原作では、ロチェスターのもとをはなれてから、もどるまでに、1年あまり(それを3ヶ月に)、そのときにジェーンに結婚をもうしこむ男が、けっこういやなやつ・・・(それを紳士的な人物に)なども、語ってくれました。

舞台はだいすきなのですが、毎月、すべての作品に感動できるわけではなく…、そういうときは、感想もかけないのですが、(私自身の、好みにもよりますしね・・・)
今回は、ほんとうにすばらしい作品でした。

原作「ジェーン・エア」も、読み直してみなくちゃと、思いました。


2009年09月03日(木)
小さなりゅう
からっぽ からっぽ からっぽだ。ぼくの おなかは からっぽだ。食いしんぼうの小さな竜は、楽しい歌をうたいながら、食べものをさがしに出かけます。嵐の夜、まいごになった小さな鳥と出会い、自分が火を吹くことができると知り…

りゅうの子のちいさな冒険やせりふがとても可愛い!
ほのぼのとした絵もステキです。

長井さんは、知り合いの作家さんです。今までにもたくさんの本を書かれていて、とても優しいすてきな方。その雰囲気がこの本にもあらわれています!

是非、図書館などでさがしてみてくださいね。

『小さなりゅう』(長井るり子 文、小倉正巳 絵 国土社)


2009年09月02日(水)
あいたくて
神楽坂の「日本出版クラブ会館」で開かれた、
工藤直子さんの講演会を聞きに行きました。

今年、74歳だそうですが、子どものころから体育会系で、いまも趣味は筋トレだという工藤さん、2時間もたったままでお話をされ(こちらは座ったままだというのに…)、
溌剌とステキに・・・年をかさねていらっしゃる姿は、とても魅力的。

子どものころから、言葉の音に、とても敏感だったとのこと。耳にのこった、
『ムーツキヒーヒーチャカポコテンテン』という、友だちの言葉。それは、実は『熊』という字を分解したものだったのですが、そんなふうに、小学生の頃から言葉のひびきに面白さを感じていたようです。

中学高校時代は、外見は体育会系でも、外に出せない思いを、文章や詩に書き溜めていたとのこと。

大人になり、26歳で詩集を自費出版。
「いつかやろう」とおもっていたら、「そのいつかはこない!」と決心したそうです。

その後も書き続け、「てつがくのライオン」がでたのは40歳を過ぎてから。

工藤さんといえば「のはらうた」ですが、書いているときは、虫や動物に完全になりきっているそうで、それはきっと子どもなら誰でももっていたかもしれない、なりきり能力だとおもうのですが、今もなおその、大いなる想像力の賜物を持ち続けているからこそ…が、工藤さんの若さの秘訣なのでしょうか。

秋のはじめに、よい刺激をいただいたひとときでした。


詩集「あ・い・た・く・て」から工藤さんの詩をご紹介。


    あいたくて

  だれかに あいたくて
  なにかに あいたくて
  生まれてきた―
  そんな気がするのだけれど

  それが だれなのか なになのか
  あえるのは いつなのか―
  おつかいの とちゅうで
  迷ってしまった子どもみたい
  とほうに くれている

  それでも 手のなかに
  みえないことづけを
  にぎりしめているような気がするから
  それを手わたさなくちゃ
  だから

  あいたくて



2009年09月01日(火)
夏の終わり…
ゆうべ、「あ〜、一年で一番悲しい夜だねえ…」
と、娘と、しみじみ…していたら、
「なんで?」と、不思議な顔をしている夫。
あなたには、わからんのかい?
この…秋になってしまうわびしさが!

きのうは、ギリギリまでいじっていた、8月末しめきりの応募原稿を投函し、晴れ晴れした気持ちで、午後、仕事にでかけたら、なんと、台風で全員休講とのこと。

塾長:「すみませ〜ん、連絡なんどもしたんですが、携帯の電源入ってなかったんで…」
それは、別にいいんですけど…
私:「もしかして、きょうの振替は、9月中にするってことですよね?」
塾長:「はい、よろしくお願いします!」

ガ〜ン!
最終日にコマをためこんでいた私がばかだった。

まるで夏休みの宿題が終わらなかった子どもの気持ち。

ついこの前の、初夏の日差しが懐かしい〜。

あっ、こんどは
『8月31日の夜眠って、翌日、目がさめたら、また7月20日になってた』
という、お話でもつくってみようかしら…。



2009年08月27日(木)
えらべない…
「一度に、ふたつのこともできない…」くせに、
『一度にみっつくらいのことに手をつけてしまう!」悪いくせがある。

子どものころの夏休みの宿題の自由研究、お盆すぎになってあれもこれも…と同時に手をつけてしまい、結局おわらなくなって、よく、父に工作をてつだってもらったものだった。
高校時代は、マン研と、ソフトボール部をかけもちし、大学時代もテニスと、鉄道旅行研究会、ふたつのサークルをかけもちし、その上、バイトに明け暮れていた。

この年になっても、結局、趣味のサークルをかけもちし、バイトに明け暮れている。

上手に時間をこなす人もいるけれど…、それができない不器用な性質のくせに欲張って…、と、一年中自己反省はしている。
「もっと、ひとつのことに集中してみなよ!」
と、自分の心に攻め寄ってみる。

でもたぶん、これは一生なおらない…かも。

机の上には、スケッチブックやら、書きかけの原稿やら、日記帳やら、塾で使う参考書やら…。


もうすぐ夏がおわる。
バタバタ、あくせく…しているうちに、いつも気がつけば秋…。




2009年08月25日(火)
締め切り
きのうから、きょう、真夜中にも…
『ふろむ』の同人から、メールや原稿がぞくぞくと届いている。
きのうが、来月の合評作品の締切日だったのだ。

「もうちょっとまって!」
「今夜中には仕上げます!」
などなど…、私も含め、みんなが火事場のばか力を出して、締め切りぎりぎりに送ってくるから、とてもおもしろい。
来月には、ゲストの方にもきていただくので、より力がはいる。私も、短編連作90枚の原稿をだした。

今月末には、もうひとつの締め切り。
頑張らねば…。


2009年08月16日(日)
ポエム 『そいつの名前は…夏休み』
毎年、そいつは、やってくる。
雷と一緒にドカーンとおちてきて
一瞬の喜びで、ぼくの目をくらまし
少しばかりの思い出と
うんざりするほどのけだるさをのこして
台風みたいに去っていく。

いくら頑張っても
たちうちできないモンスター
いつだって
ぼくは敗北感にうちのめされるだけ。

「ねえ、もうちょっとだけ待ってよ!」
こどものころ、
ぼくは決まって、最後の夜にそいつに
たのんだものだった。
一生懸命
遠ざかっていくそいつの後姿にすがるんだ。
でも、そいつは
ふりむきもしないで
真夜中きっかりに忽然と姿を消してしまう。

8月31日の夜。
ぼくは、
わけもなく泣きたかった。
本当に泣きわめいたりはしなかったけれど
1年のうちで、こんなに悲しくて悔しい日はないと
わけもなく泣きたかった。



2009年08月08日(土)
コーギビルの夏休み
夏期講習の前半日程がおわり、7日〜12日までは、めでたくゆったり夏休み…。
といっても、今年は遠出をする予定もなく、きのうきょうと、2日つづけて図書館に通いました。
人、人、人…夏の図書館はデパート並みに(というのはちょっと大げさですが)にぎわっています。

手にとった絵本のなかから、夏にちなんだものをご紹介したいとおもいます。

『コーギビルの村まつり』(ターシャ・テユーダー絵・文 メデイアファクトリー)は、
コーギビル3部作の中の1冊です。
舞台は、アメリカのニューハンプシャー州の小さな村。村の最大のイベントは、おまつり。
こどもたちは、冬は学校にいき、夏はおまつりのために時間をつかいます。
夏は村じゅうがそうします。
そのおまつりのなかでもメインは、ヤギレース!
コーギー犬のブラウン一家を擬人化、きらわれものの猫トムキャットも、もちろんどこの村にも、ひとりはいそうなずるがしこいやから…。
動物たちをそのまま人間におきかえて読む楽しみを味わえるとともに、可愛い動物たちの絵がすばらしく、また、犬がヤギレースをするという、なんともシュールな一面も楽しむことができる素敵な一冊です。

ターシャ・テユーダーを私に紹介してくれたゆうさん、どうもありがとう!


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shiromuku(hu1)DIARY version 3.04