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 なつがす ぎると、ジップが やまを のぼる ことは、
だんだん すくなく なって いきました。
 だって、あれから おおかみは いちどだって きや しない。
それなのに、ぼくが くろうして あつめた たべもの、ただ 
さんぽしてるだけの くまに あげる こと あるだろうか?
ジップは、そう おもいはじめて いました。
 そして、あきが ふかまると、とうとう
ジップは とどけものを やめて しまいました。
 つくしやまに つめたい きたかぜが 
ふきはじめました。そんな あるひの こと、
トリーが さびしそうに いいました。
「しばらく おわかれだ。げんきで いるんだよ。」
ふゆの あいだ、トリーは とうみんするのです。
 こうして、トリーは ふもとに こなく なりました。

 こごえそうに さむい あさでした。
ジップが いえの そとに でると、
とつぜん くさかげから なにかが とびだしました。
いつかの おおかみです。
「たすけて!」
ジップは はしりだしました。むちゅうで やまみちを かけあがり、
いつのまにか トリーの いえに むかって いました。
 にげても にげても、おおかみの 
あらあらしい あしおとが せまって きます。
ジップは くたくたに つかれきって いました。
 トリーの いえは もう すぐ そこ。でも、その
おおきな おもい とびらは かたく しまって いるのです。
「ああ、おしまいだ!」
 いまにも しっぽを つかまれそうに なった ときです。
めのまえに ちいさな あなが あいて いるでは ありませんか。
 ジップは、おもわず あなに とびこみました。