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「どうぞ、おだいじに…」 魔女が、二番目のお星さまにさよならをいうと、三番目のお星さまが、 魔女を待っていました。 ダンスの好きな三番目のお星さまは、魔女の靴をうらやましがりました。 魔女は、自分の青い靴をぬいで、お星さまにあげました。 「うわー、ぴったりだわ! ありがとう!」 「どういたしまして、とてもよく似合うわ!」 三番目のお星さまは大喜びで、タップダンスをはじめ、 魔女も素足でいっしょに踊りました。 「もう、行かなくちゃ!」 魔女が帰ろうと決めたとき、今度はお月さまが魔女をよびました。 「なあ、たのみがあるんだ…」 魔女は、はなしをききました。 「このごろすっかり目が悪くなって、地上のようすが見えなくなってしまってねえ…」 靴屋のぼうや、きょうはどんないたずらを しているんだろ? おてんばな花屋の女の子、いつまで寝ないで遊んでいるのかな? そんな姿を空から見るのが、お月さまの楽しみでしたから、 目が悪くなってからというもの、お月さまは、とてもさびしい思いをしていたのです。 魔女は地上を見下ろすと、さっそく話して聞かせました。 「ぼうやは、あいかわらずママをてんてこまいさせているわ! 女の子には、かわいい妹がうまれたみたい…。もう、お姉ちゃんね!」 それから、自分のめがねをはずして、お月さまにかけてあげました。 「こりゃあ、すごい。見えるぞ!」 お月さまは、見えるかぎりのようすを、魔女に話しはじめました。 うれしそうに、とてもうれしそうに…。 魔女は、何日も、お月さまと一緒にすごしました。 そして、とうとうめがねをおいたまま、お月さまのそばからはなれました。 (お月さま、さようなら…) |